なぜ64Pad Explorerは複数のポジションを表示するのか
いきなり意味不明なタイトルですね…
少し前に、パッドは抽象的な楽器だという話を書きました。
ギターや鍵盤のように、それ自体が歴史の中で形を与えられてきた楽器ではない。
音を出す仕組みを物理的に持ってない。物理的な要因がないが故に、音楽そのものの構造と近くなる。
だから私は、パッドは OS みたいなものだと思っています。
他の楽器と共通する音楽OSだと。この考えが64Pad Explorerに強く反映されています。
抽象度が非常に高い。構造的と言えます。ただし、二種類ある。
ひとつは人間の側の物理。指の使い方、手首の可動域、どちらの指が押さえやすいか。
もうひとつはパッド自身の側の物理。パッドの数は64個。無限ではない。
この三つ、抽象的な構造、人間側の物理、パッド側の有限性。この全部から、64Pad Explorer で必要な機能というのが決まっていきました。
複数ポジションを表示できる必要がある
まずは、抽象性と人間側の物理のほうから。
64Pad ExplorerにはChordモードがあります。
これは、ギター的な発想でもなく、鍵盤的な発想でもありません。パッドに合わせた発想で作られています。
パッドで表示させるものはほとんどないですが、あってもスケールです。
なぜならコードを表示するのは非常に面倒くさいからです。どういうことか。
ギターの場合、人間の手の物理的制約で、フィンガリングが一意に決定されることが多い。同じ音、同じコードでも、同一弦は一音しか発音できない、ポジションはほぼ一意に決まる。
パッドは違います。同じ音が違うポジションで鳴らせる。
こういう意味ではギターやベースと同じなんですけど、違いは、同一弦上でも発音できることです。パッドはスイッチに過ぎませんからね。そのうえ、押さえられるならどの指を使っても良い。
つまりパッドは、楽器側の物理がパッドの奏法を決めない。だからパッドでは、どのポジションを選ぶかが、重要な技術になる。
例えば、コードトーンを使ったアプローチをしたいとする。トップボイスをクロマチックアプローチで修飾するのか、ベース音を次にクロマチックに弾くには?同じフォームにはならない。
ですから、1つのポジションを固定して登録しておいてそれを表示するというのはシンプルなんですけど、これでは少なくとも自由に演奏できるようにはならない。
パッドの場合、フォーム選択そのものが弾けるフレーズを決定するからです。
これは今日の練習会でちょっとお話しますけれど。
パッド演奏の重要な技術に、コードトーンやスケールを視覚的に展開出来るかがあります。
そもそも視覚的に認識できないと弾くのに大変、もしくは不可能なポジションを選択してしまうからです。
例えば、コードトーンを使ったアプローチをしたいとする。
トップボイスをクロマチックアプローチで修飾するのか、ベース音を次にクロマチックに弾くには?
同じフォームにはならない。
ですから、HPS本編や地獄プランでは、フレーズに応じたポジション選択をマスターできるように設計してある。
順番に弾いていくと最適なフィンガリングをマスターできるようになっているわけですね。
ハードコア・パッドスタイル 第4回 ボイス・リーディングを考えて 4和音を弾こう
地獄プランへようこそ 考えずに弾くだけでモテるようになる修行場へようこそ・・・
手形を全部撮影しているのは、前後の流れで押さえ方も変わるからです。
パッドでフィンガリングを表示するのは、ロジックでは出来るけど、あえてやってないんです。前後の流れ、弾きたいフレーズがある場合、どのポジションを選択するかが先にくる。どのフィンガリングを選択するかはまた別の技術であり、個性だからですね。
HPSの場合、一定の技術水準に到達させることは教師の仕事ですから、人体の構造から考えて動きやすいフォームを提示していますけど。
ギターの知識は転用できるけれど、パッド独自のフィンガリングは存在する。
ですから、コードのポジションは複数選択できるように作ってあります。あ、アルファベットでポジションの切り替えが出来ますから、お手元に64Pad Explorerが開いてあれば、試してみてください。Escで解除です。
なぜ、全画面で写しているか
こう思われる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。ポジション全部だとごちゃごちゃすると。
そして、パッドは同じ形で弾けるのではなかったの?じゃあ、いらないじゃんと。
パッドの場合、インターバルの形は常に一致。複数押さえ方はあるけれど。これはパッドの大きなメリットです。
じゃあ、オクターブだけ指定して、そのポジションだけのほうが見やすいじゃん。と、なると思います。
ですが、それでは、ベースラインを入れながらコードを弾いたりは出来ません。
抽象的な楽器であるパッドが持つ有限性。
64パッドというパッドの数の限界があるからです。
おわかりでしょうか。
オクターブ下の場合はポジションが一つしか選択できないわけですね。
4度のクロマチックでは理論的には全てのポジションが同じで弾けるわけですけど、パッドの数の限界があるからこうなる。
だから、こういう表示が必要になるわけです。
同じコードでも音域によって選択しうるポジションが何かを知る必要がある。
視覚的に展開できる技術が重要というのはそういうことです。
オクターブ違いのポジションでもさっと確認することが出来たら、楽器がなくても頭の練習は出来ますよね?携帯でも使えるようにしてるのはそういう理由もあります。
64Pad Explorerはコード判定や物理モデリングでオールド・スクールなものが弾けると超多機能です。
ですが、その多機能さは演奏できるようにするため。そのために必要な機能をつけていったに過ぎません。
ですから、64パッドの学習支援アプリなんです。
HPSにあるもの全部やればどのポジションも反射的に弾けるようにはしてあるんですけど、みなさんが、ご自身で弾きたい曲を弾いたりするには調べられる環境が必要だからということですね。
まあ、でも、この64パッドの限界というのは256パッド作れば解決するだけの問題なんですよね。なんで、これも作るのがパッド先生の仕事かなと思ってます。








